
2. 阪神・淡路大震災と身体障害者
地震当時、兵庫県内には約16万人の身体障害者、約2万人の知的障害者が暮らしていた。障害等級1級ならびに2級の重度障害者だけでも6万4千人、神戸市だけで約2万人に達していた。激震の地にこれほど多くの障害者がいたのである。 1)被害状況 阪神・淡路大震災による死者の過半数が高齢者であるとされている。障害者の死亡率も各種団体のまとめによると0.6%〜1.3%と、県全体の死亡率の0.1%を大きく上回る。聴覚障害者を対象とした調査では、揺れの強かった神戸市、芦屋市、西宮市、淡路では家具等の下敷きとなった人は16.7%に達している。下敷きになった場合、高齢女性では自力で脱出できた比率は低く、聴覚・言語障害者では声が出せずに助けを呼べなかった可能性も指摘されている。また、自身の被災は免れても、補装具や薬をなくした例もみられる。 2)異常覚知と初期対応 今回の災害では揺れが激しかったこともあり、異常覚知の面では問題は少なかったようである。しかし、ガス漏れ等の広報をつかめなかった例や、重度障害者のなかには異常覚知できなかった例もみられる。警戒宣言や津波警報時、風水害時を想定した場合には、大きな問題となってくる。たとえば、廣井は奥尻の地震災害で警報の把握が遅れ、逃げ遅れた聴覚障害者の例を指摘している。 また、初期対応でも困難であった人が多い。停電でエレベータが止まり10階に閉じこめられた肢体不自由者、部屋の中が一変し移動できなくなった視覚障害者。階段が壊れたり、ドアや窓が開かずに避難できなかった例も多く見られる。このため、周囲の人がどのように対応しているのかわからず、また情報入手手段も途絶し、情報空白に置かれてしまった人でてきている。
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